パソコン画面に最適化される最近の映像

どうやら最近作られた映像作品はどれもパソコン画面に最適化されているらしい。

だが巻き上がる砂埃や爆発の爆炎などまでCG化されると、どこをどう苦労したのかが、うまく伝わってこない。パーティクルで物理シミュレーションカマしたあとボリュームレンダリングじゃん、というところが見えてしまって、なんかこう、「すんごい時間かけて何度もやりなおして大変でした感」が、グッと来ないんである。

作品としては大変素晴らしい試みだと思うが、同じ箱庭でもスタジオの小セットからパソコン画面内に移ってしまった感じが見えてしまうのが残念だ。

CGを多用したポスト・プロダクション*1では当然ながらその作業はパソコン画面上で行われることは、素人でも想像に難くは無い。その為かリンク元で述べられている『キャプテン・スカーレット』の現代版においても上記引用のような「同じ箱庭でもスタジオの小セットからパソコン画面内に移ってしまった感じが見えて」萎えるという現象が起きてしまうのである。


また、似たような現象は『劇場版機動戦士Zガンダム -星を継ぐ者-』でも起こっているようである。

映画館で観た時は、一体エイジングって何なんだよ、と思うほど効果薄かったですが、PCモニタでDVDを観てみると、それほど新旧カットの差は感じられなかったです。

PCモニタで観ながらデジタル処理した映像は、映画館よりもPCモニタで観るほうが向いているという事でしょうね。

『劇場版機動戦士Zガンダム』は富野由悠季総監督自らAppleコンピュータ社の映像編集ツール“Final Cut Pro”を用いて旧作TV版カットと新作カットを再編集したものである。その新旧カットの差を無くすために新作カットにエイジング処理作業をかけているのではあるが、その作業はMacのモニタ上で行われたようである。
http://www.apple.com/jp/pro/filmvideo/tomino/を参照)
その為か、Macのモニタ上で最適化された映像がそのまま映画館の大スクリーンに映し出され、違和感の元になったものと思われる。(自分も『劇場版機動戦士Zガンダム三部作』を全て映画館で見たのだが、明確過ぎる旧作カットと新作カットの差に違和感を感じた。)


少なくともしばらくの間は「大予算をかけているので映画館サイズのスクリーンで上映テストを行うことができる大作ハリウッド映画」以外の作品(通常予算の映画・TV作品等)については、最も最適化された鑑賞環境が“パソコン画面”という変な状態が続きそうな感じです。

機動戦士ZガンダムII -恋人たち- [DVD]

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*1:CGエフェクト等の追加を含んだ編集作業