大手チェーン店の『店長』は
はたして管理職なのだろうか?
知人が外食産業チェーンにいるので話は多少聞いているのですが、明らかに大手外食チェーン店の『店長』は管理職とはいえないようです。
昨日、NHKニュースで解説された内容によると、管理職の要件としては
- 経営者と一体的な立場である
- 勤務時間が自分の裁量で決められる
- その立場に準じた高待遇である
と3条件が必要ということですが、自分としてはこれにもう一つ
- 部下(正社員)に対して人事権を持っている
という条件を加えたものと考えています。
一般的に大手外食チェーン店では正社員として入社すると、いきなり『副店長』などの肩書きが付くようです。そして、1ランク昇進するともう『店長』です。この『店長』にはパートやアルバイトに対する採用などの人事権はあっても、正社員に対する人事権はもちろんありません。上記の3+1条件を満たすのは、せいぜいその1ランク上の数店舗をまとめる『エリアマネージャー』『地区マネージャー』等と呼ばれるポジションからです。
この地位になると肩書きに「マネージャー」と付いているように一般企業でいうところの「課長職」クラスになりますので部下に対するある程度の人事権もあり、ようやく管理職と呼べると考えられます。要は大手外食チェーンの『店長』はせいぜい一般企業における「主任」「係長」クラスです。
まあ、会社の部長や役員クラス以上が出席する重要な会議には呼ばれることは滅多にありませんし、高待遇どころかむしろ長時間労働・低賃金が常態化しているのが普通のようです。
原告側の弁護士によると、外食産業チェーン店の店長への残業代不払いをめぐり同様の問題は多いとされるが、大企業のケースでの判決は初めて。日本マクドナルドの直営店店長も約1700人に上り、大きな影響を与えそうだ。
この裁判でマクドナルド側は
マクドナルド側は「アルバイトの採用権限や評価、予算作成など店長は店舗経営に関し幅広い権限を持つ。給与も優遇され、勤務時間も主体的に決められる」と反論していた。
と言っていますが、百を軽く超える店舗の中のせいぜい一店舗の経営で「経営者と一体的な立場である」とは言いがたいですし、アルバイトの採用権限や評価程度で「人事権を持っている」とするのは難しいと考えられます。
昨今、日本経団連の後押しでに導入が議論されている、「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)」(別名、家庭だんらん法(笑))というのはこういった「主任」「係長」クラスに残業手当を合法的に出さなくていいようにする「サービス残業の合法化」なんですね。*1
労働者馬鹿にすんなよ!